2017年春の特別研究プロジェクト

見ず知らずの人と寝食をともにする。そのような経験はなかなかないだろう。3月7日(火)-10日(金)に開催されたSBC特別研究プロジェクト(以下、特プロ)は、そのような経験ができる貴重な合宿であった。学年、興味分野、履修する理由。2単位が欲しくて集まっただけの人も多いだろう。SBCに泊まってみたくて履修した人も多いだろう。理由はどうあれ、春休み真っ只中のSFCにやってきたメンバーだから、それはなんだか面白いことが生まれそうだ。

はじめは驚いていた。履修者名簿を見て、知らない名前が多いこと。そしてSBC合同研究会のメンバーが少ないこと。この合宿で果たして成果を上げることができるのであろうか、不安だった。いま思うと、このようなことを考えていた自分は本当に「SBC合同研究会」だったんだ。この合宿を通じて思い知らされた。SBCにはいろいろな関わり方があっていいんだ。SBCの七つの理念のうちの一つ「ゆるやかな関係、多様な関わり」をぼくも教授もすっかり忘れていた。

合宿では3名のスペシャルゲストを迎えた。グラッフィクデザイナーの古谷哲朗さん、みやじ豚の宮治勇輔さん、FabCafeの岩岡孝太郎さん。超豪華ゲストだ。2、3人のチームを組み、スペシャルゲストのレクチャーを受け、ディスカッションをしながら、アイデアを発展させ、プレゼンテーションをする。3泊4日の今回の特プロはいわば滞在型の企画立案コンペ、のようなものであった。

朝も昼も夜も、合宿スタート時では顔も名前も知らなかったメンバーとともに議論する。そして手を動かす。さらに、ご飯の時間にはチームの垣根を越えてみんなで食事の準備をする。食事もみんなで食べ、後片付けも協力して行う。寝食をともにする。というのはまさしくこういったことだ。

2日目の朝、外で朝食をとる学生たち

SBCが大事にしている「共創」という言葉。この言葉の意味がSBCに関わってから1年のこのタイミングで理解することとなった。

デザインのレクチャーに対して質問する、教育系の学生。アート系の学生と経済系の学生からなるチーム。3年生と1年生が同時に立つキッチン。SBC合同研究会の学生とまだ研究会に所属していない学生が夜な夜な語り合う。同じカレーを食べる教授と学生。

この一つ一つの普段では起こりえない要素で滞在型教育は溢れている。この不確実性は非常にクリエイティブな空間を演出し、今までに体験したことのない「共創」を生んだ。

「食」をテーマにSBCでの国際交流について考えた

滞在棟1をさらに活用するために考え出されたブロック「チルチル」

きっとこの合宿はSBCの歴史に刻まれるだろう。(少なくともぼくの歴史には刻まれた。)

最後に、SBCの使い方で提案したいことがある。ぜひ1泊や2泊ではなく、3泊してみてほしい。予想を超えたものが生まれ、新しい世界が拓けるかもしれない。

Author: 松岡 大雅