SBC滞在棟の滞在費引き下げ交渉の経緯

2016年度秋学期、SBC合同研滞在棟1の滞在費の引き下げと滞在に於ける同伴教員のステータスの引き下げをキャンパス構想委員会のミーティングにて提案しました。その経緯と議論の結果をここに記します。

滞在費の現状

現在、滞在費は以下の価格で設定されている。

現在、滞在棟1を利用するためには個人利用料1人¥2000に加え、室料が必要である。1部屋 4人の宿泊が可能なため、4人揃った場合は¥2000÷4人で個人負担は¥500となる。

それらを合わせて、1人あたり1泊目の平均滞在費は¥2500となる。

ちなみに2泊目以降は個人利用料が¥500に減額されるため、室料¥500を加えて、合計¥1000が2泊目以降の滞在費となる。

滞在費引き下げ交渉

SBC合同研は、滞在棟1利用者やSNSでの口コミから「滞在費が高い」のではないかという相次ぐ指摘を受け、滞在費がどのように利用されているかを説明した上で、アンケートを取り、利用者の声を改めてまとめた。

利用者80名へのインタビューの結果、9割以上の答者が現在の滞在費一泊2500円を高いと感じていた。

アンケートでは利用者が感じる適正価格も聞くことができた。

回答を見ると多くの利用者が一泊1000円を適正価格と感じていることがわかった。さらに適正価格を選んだ理由を尋ねると以下のような答えが返ってきた。

少なくとも2000円以下にしてほしい。高すぎて月に何度も宿泊することは難しく、1日1000円未満で日々の生活をやりくりしている学生にとっては高すぎる値段設定であり、大学の宿泊施設とは思えない。
大学施設の一部だからです。今の料金では、普通の宿泊施設と変わらないです。本音は、無料がいいです。
寝るところはあるといえ、学校近辺に宿泊するのに2500円は高いと思います。もっと学生が気軽に泊まり、ディスカッション等できるように値段を下げて頂けたらとても嬉しいです。
使用条件が研究や教育目的に限られているので、本来ならば無料に近い額で提供するべきだと思う。しかし、光熱費やリネンなどにお金がかかるとは思うので、高くて1000円が妥当だと思ったため。
SBCは管理人常駐ではなくリネンも自分で取り外した記憶があります。ゲストハウスのドミトリー相場が3500円程と考えると、SBCは人件費分安くても良いと考え2000円ならば適正なのではないかと考えました。

大学の施設かつ学習目的に利用する施設としては、ホテルなどと値段設定に大きな差がなく、気軽に利用することができないという意見が多数を占めていた。

1泊目2500円を高いと答える利用者が多かったのに対し、2泊目以降1000円という価格設定は適切と考える層が増加した。これより考えられることは一律1000円を適正と考える層が多いということである。

利用者の声を受けて、SBC滞在棟以外の大学の宿泊施設がどのような値段設定を行っているのか調査を行った。その結果が以下である。

これによると多くの大学が2000円台周辺に価格設定を行っていることがわかった。この調査からSBCの価格設定である2500円は極端に高価ではないことがわかる。

しかし、着目すべき点はこれらの施設の多くが夏季休暇中など、普段の授業日などの利用を想定に建てられたものではないということである。滞在棟1は非日常的な合宿利用を目的に作られた施設ではなく「滞在型教育研究」を推進すべく、より日常の学びに寄り添った施設利用を一つのビジョンとして掲げている。その点を考慮し、日常の中の身近な利用を目指すのであれば、他大学の宿泊施設よりもリーズナブルな値段設定を検討する必要があるのではないだろうか。

これらアンケート調査と他施設との比較検討を行った結果、我々が提案する滞在費のプランは以下である。

このプランでは一律1000円のA案に対し、施設利用の対象者で滞在費の差をつけるB案や学期中の利用と長期休暇中で差をつけるC案、それらの混合を行ったD案、E案など、滞在費の一律の引き下げだけではなく、グラデーションを設けることで滞在費の引き下げを実現するプランを考えた。

調査結果とプランをまとめた資料をキャンパス構想委員会で提示し滞在費の引き下げを提案した結果、引き下げの検討は見送りとなった。

キャンパス構想委員会会での見解としては、既に施設の運営費で赤字を出している以上、簡単に引き下げに応じることはできないということに加え、滞在者数がまだ十分に確保できていない段階での検討は早急であるという結論であった。

加えて、SBC合同研からの視点としては、SBCの仕組みを作る合同研には滞在棟の財務に関する詳しい情報にアクセスする権限がないことが、実現可能な財政面を含んだ提案につながらない理由だと考える。

また、滞在棟1の運営は大学側と共に合同研側も模索中である。今後も調査を続け、滞在費の引き下げを達成し、学生にとってより身近な滞在型教育施設の実現を目指して努力していきたいと考えている。

Author: 上田 椋也